限られた会社の人件費枠は、他社との競争に打ち勝つ現場~直接的に利益を生み出す部門に投入したい!
→当然です。トヨタ本社員も言ってます。「トヨタの敵は今日のトヨタだ。」パラノイアに近いまでの自己変革(或いは改善)エネルギーです。
魅力ある商品・サービスを提供しないとユーザーが支持しませんから生き残れません。自己変革しないと、それをした同業他社が貴社を陳腐化します。(今は、競争相手は地域のお仲間だけではありません。ノウハウと技術等を集積した大資本のフランチャイズ店も相手です。)
中間事務部門の経費を削減したい!
しかし企業のコンプライアンス(法適合性)の問題もあるから、法改正情報はタイムリーに押さえたい。行政の一方的押し付けでなく、自社の身の丈にあった発展的な組織整備をしたい。総務・労務管理の部門で他社に遅れを取りたくない。
→当然です。(「経費を削減しながら」やるんですから、かなり欲張りですが‥‥・。)
たとえば月20万円の給与の人は、社会・労働保険料、賞与の月ならし(平準化)、退職金の月ならしを加えるとその1.7倍=34万円がかかると言われます。
一方、専任の人事部長、総務担当者を置けない中小企業では、労務管理に関する戦略策定ができません。頻発する最近の法改正に対面しても、必要以上に「神経質にうろたえる」か「居直って無視する」かのいづれかで、これでは(企業の発展からみて)健全な対応が出来ません。せいぜい事務の女性社員が最低限の手続き処理を(社保事務所・監督署・職安へ)「こなす」だけとなります。前任の担当が間違っていたため、後任の方がその間違いを伝統的に守ってしまう場合もあります。
こんな例がありました。3年前の実話で、後日談を聞いたのです。それまで一般社員であった社長のご子息が役員(専務)に昇格され、会社の重要経営決定に参画されるようになりました。一般社員時代は、労働者ですから雇用保険の被保険者であり、自身雇用保険料を払い、会社も負担する訳です。役員となると一般的には法人から業務執行の委任を受ける訳ですから、(それまでと同じ仕事をしていて、職安から特別に労働者性を持つという認定を受ける特別な場合でないと、)原則的には雇用保険の被保険者とはなりません。先の場合では、仕事の性格がこの原則的場合にあたっており、息子さんが役員就任後約10年間雇用保険料の対象として、本人と会社が保険料を支払っていました。その総額約137万円。そのうち26万円ほどは、還付を受けましたが、残り100万円余は時効で返還されませんでした。(2年度の時効制度があります。)
ここでは、いわゆる一般事務担当の方をおとしめるつもりの紹介ではありません。社長さん方は彼もしくは彼女たちの執務状況を想像できますか?「会社の会計をしなければならない。月次の試算表も作らなければ。手形管理も、資金繰計画もしておかなくちや。請求書も出しわすれちやいけないし、銀行にもいかなければ・‥・。そうそう給与支給日も近づいたナ‥・。お客さんがきたからお茶だししなくちや。なんやら法人税や所得税が変わったらしいけど‥勉強する時間がないな。まあいいか‥‥・」
そんな中で、だれが労働基準法や雇用保険法の改正を追うでしょうか?理解するために使う脳の部位が違うのです。そうやって間違った手法、無駄な作業が継続され会社や社員さんが本来もらうべき給付金がみすごされていきます。 この部門も強くしましょう。
御社の事務処理レベルをチェックしてください。
【参考資料】出生・育児に関する手続き(PDF358kb)