開業2年目(平成7年5月)に初めてパートさんを雇うことに決め、職安に求人を出しました。 自分の字がきたなくて、事務代行業はとてもできないと思っていたため、応募資格はただ一つ、「字がきれいな人」です。
しかし、待てど暮らせど応募者は現れません。1ヶ月後にやっと応募してきた41才の方が、それはそれは「貴重な人材」に見えました。もちろん、即採用です。
ところが、いざ仕事してもらうとパソコン操作や給与計算事務、社会保険事務が覚えられません。わずかな収入から給与を払っているのに…、そんな思いもあって、厳しい言葉で注意していました。
次第に彼女も、仕事が処理できないことにイラダチを覚えていきます。結局、売り言葉に買い言葉でケンカ別れのように会社を辞めていきました。
2人目の方も1年たらずで会社を去ることになりました。
責任はすべて私にありました。
経営には、ヒト、モノ、金、情報が大切です。とりわけヒトが重要です。できる社員とそうでない社員では、どれくらい差がありますか?
求人のコツは、応募者をできるだけたくさん集め、その中から優秀な方を採用することです。「選ばれた」という自覚と「採用してもらった」という感謝の気持ちをもってもらうことが大切です。
人選は重大な決断です! 月25万円、ボーナス年間4ヶ月の社員の人件費は、社会保険料などの間接人件費を含めると年間約450万円です。平均勤続年数を短く見積もって5年としても2,250万円です。22年勤続ならば約1億円。人を採用するということは、家を購入する以上に重大な決断なのです。しかも、その差ときたら…。ですから、後になって辞めてもらいたいと思わせるような人物は、採用の段階でふるいにかけて、採用しないようにすることが大切です。
ほんの少しの心配に目をつむって、不安感のある人を採用すると、後で大変な苦労をさせられます。
飲み込みの悪い人なら、仕事の効率を下げ、あなたをイライラさせます。性格に問題のある人なら、周囲に不快感を与え、疲れさせます。
面接だけでなく、作文、実技試験、適正検査をさせてみて、成績ではなく、問題を解く態度や取り組む姿勢を観察すると、その方の仕事に対する心構えが見えてきます。
良い人材を集めるには、良い労働条件と効果的な採用活動が必要です。
労働条件を改善していくことは大切です。ヒトに投資を惜しんだら会社の成長は期待できません。
能力に応じた昇給はもっとも有効な将来投資であり、かつ効果的な節税対策です。なんといっても利益の源泉は人財にあります。優秀な人材が集まり、人財に育てる仕組みを作りましょう。
事務員を募集するのに、月給15万円と月給18万円では応募してくる人数と応募者の質がかなり違います。例えば、月給18万円でワード、エクセルを使える事務員を募集して、その中から「感じの良い素直な方…つまり使い勝手の良い方」を採用する方が断然お得です。